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2011年 02月 23日
Ⅳ.註の書き方 1.註とは 註(注とも書く)には2種類ある。本文に入れると論旨がすっきりしなくなるために、註に回して説明する「補足註」と、本文で取り上げたデータや解釈の出典を示す「出典註」である。出典註は論拠を示し、研究史を示し、原著者の著作権を守るためにも必要である。 注の形式は、割註・括弧註・頭註・脚註・傍註・段落註・後註・文献対照註・別冊註とさまざまあるが、卒論で普通使われるのは、後註(本文巻末か章・節末に註をまとめて書くもの)であろう。ゼミによっては註を別冊にした別冊注を指定しているところもある。またワープロが発達するにつれて、読みやすい脚註も普及するようになった。 <註の一般的注意> ・ 註番号は順番に一つずつ書く。同じ出典だからといって、同じ註番号を何度も出したりしない。また本文の同一個所に註を複数入れたりせず、一つの註に統合し、その註の中で段落を区切るなどして複数項目を説明する。 ・ 註番号は後註の場合、論文全体で通し番号をつけるよりも、各章ごとに1から始める方が良い(修正しやすいし、註番号が大きくなり過ぎない)。脚註の場合は、ページごとに1から始める。 ・ 註だからといって別に小さい文字で書く必要はない。 ・ 註番号は、直接引用の場合も、内容要約の場合も、原則的に該当個所の末尾に付ける(長い引用の場合、引用が始まる前につけている場合もある)。特定単語の説明の場合は、その語の直後につける。 ・ 横書きの場合、行の上側ないし行の中に註番号を( )に入れて書く(片括弧も可)。 (8) (例) …である。 …である(8)。 …である8)。 ・ 翻訳と原書と両方読んだ場合は、註に両方書く。そうでない場合は実際読んだ方を書く。 ・ 補足註の記述の出典を示す場合には、その註の最後に( )で添える。 (例) (5) 政治学的にみると、この問題は国家の主権の問題である(長原三郎『ブレジネフ・ドクトリンの研究』岩波書店、1986年、169ページ)。 出典註は専攻分野によっていろいろな流儀がある。詳しくは所属ゼミの教員の注意に従うこと。ここでは歴史系の雑誌論文で広範囲に使われている標準的な方式を挙げる。しかし、どの方式であろうと、出典註の大原則は以下の三つで同じである。 a.その論文内で統一性があること b.必要事項がもれなく書かれ、誤解を生じさせないこと(文献が特定できること) c.学界で通用する形式であること 自分はどの方式をとるのかを決定したら、論文内での統一性に注意をはらうこと。 2・初出の和書の出典註記 <必要な項目> ・ 本の場合: 著者名、書名、発行所名、発行年、採用ページ数。 ・ 雑誌論文の場合: 執筆者名、論文名、雑誌名、巻号数、発行年、採用ページ数。 (市販されていない大学や研究所の紀要などは、発行者の大学名や研究所名を付記する。) ・ 論文集の論文の場合: 執筆者名、論文名、論文集の編者名、書名、発行所名、発行年、採用ページ数。 採用ページは必要に応じて入れる。上記項目間で、各種かっこで区切りがつけられていない個所は、読点(、)で区切り、最後に句点(。)を打つ。なお、これは初出時の記載方法であり、既出文献の記載方法は後述する(Ⅳ―3参照)。各項目は文献の奥付をよく見て正確に書くこと。 <各項目の留意点> a.著者名 ・複数著者の場合、・(ナカグロ)などを利用して併記する。 (例) 上智太郎・四谷花子 ・著者が3人以上の場合、第一著者以外は「他」で略記してもよい。 (例) 上智太郎他 ・編者・編著・監修などは、その旨を明記する。 (例) 上智太郎編、 四谷花子編著、上智花子監修 ・翻訳書の場合、訳者名も併記する。 (例) ナタリー・Z・デーヴィス著、二宮宏之訳 b.書名・論文名・雑誌名 ・書名、雑誌名、新聞名は『 』で、論文名、新聞記事名は「 」でくくる。 ・副題を書く場合、二文字ダッシュなどで添える。 (例) 『エリートの攻防―イギリス教育革命史』 ・シリーズもの、講座ものの場合、一冊一冊の独立性が高い場合は単行本扱いにする。全体の統一性が高い講座ものの場合、講座名・巻数・(当該巻タイトル)を書名にする方法と、特に各巻に個別のタイトルがついている場合、該当巻を書名にして、その後に講座名・巻数を( )で付記する方法とがある。 (例) 『ファシズム期の国家と社会 第5巻 ヨーロッパの法体制』 『ヨーロッパの法体制』(ファシズム期の国家と社会 第5巻) ・新版・増補版・改訂版などの場合、書名にそれが入っているときは、書名に入れる。 ・上巻・下巻・第○巻は、書名にいれる方法と、書名の直後に書く方法と、両方ある。 c.発行所名 ・和書は洋書と異なり、発行地だけでは文献を特定できないので、発行所名(出版社名)をかく。発行地は普通書かない。 ・発行所名は本の扉や奥付から確認する。書いていない場合、「発行所不明」と書く。 ・発行元と発売元が異なる場合は、発行元を書く。 ・古文書や非刊行文書などで発行主体が明示されていない場合は、所蔵先を書く(しかし、個人の所蔵の場合、所蔵先を公表して良いか確認の上対処すること)。 ・出版社名さえ書いてあれば、○○文庫、○○新書と明記する必要はないが、読者の便宜を考えてそれを書く人も多い。 d.発行年について ・西暦で書く。 ・自分の使用した版の年を書く。初版以外の場合、書名に第何版か書いてなければ、発行年のところに第○版と( )で付記する。刷の年に関しては、原理的には自分の使用した刷の年を書くべきだろうが、現行では刷の年は無視されている。 ・発行年のわからない時、「発行年不明」と明記する。 ・「1969」でなく「1969年」と、「年」という漢字を入れたほうが良い。 e.ページ数について ・欧文ではないので、「p.5」と書かず、「5ページ」ないし「5頁」と書く。 ・複数ぺージの場合は、~ や ー を使って記す。 (例) 35~45ページ、 35-45ページ。また「35ページ以下」という書き方も使われる。 3.既出の和書の註記 既出文献は、省略できるものはすべて省略する(発行所、発行年は省略できる)。後述するように「同」「前掲」という表現を利用して略記する。 直前の文献を再び挙げる場合は、「同書」・「同論文」が使われる。違うページのところを挙げるときはページ数を添え、まったく同一個所なら、ページ数も書かない。「同」はまた、直前の文献の著者名のかわりにも使える。 直前ではないが一度出した文献を再度掲げるときは、著者名・執筆者名のあとに「前掲書」・「前掲論文」と書く。著者名・執筆者名は同姓の人がいなければ、姓のみでよい。ただし同一著者の複数の文献を使用するときには、「前掲書」「前掲論文」ではなく、再び書名・論文名(多少簡略化してよい)を書かなくてはならない。「前掲書」・「前掲論文」と書いたらどの文献かわからないからである。同じように、上下巻のあるものは、その都度どちらの巻かを明記しなくてはならない。要は、文献が特定できることである。 (例) (1)立石博高・若松隆編『概説スペイン史』有斐閣、1987年、100ページ。 (2)同書、200ページ。 (3)深沢光『スペイン内戦』彩流社、1979年、45ページ。 (4)立石・若松、前掲書、26ページ。 (5)同書。 (6)深沢光『フランコとヒトラー』平成出版、1990年、111ページ。 (7)同『スペイン内戦』56ページ。
by history-sophia
| 2011-02-23 10:46
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