2011年 09月 16日
小笠原 恵子 (4年) 私は今イタリアのナポリに留学しています。今回の留学が私にとってはじめてのヨーロッパ滞在でした。 ナポリに来てまず思ったのは町が中国のようだ、ということでした。街中はとてもにぎやかでバイクや車が絶え間なくとおり、その合間を縫って道路を人がわたります。信号を気にする人はあまりいません。露店は服、果物、贋のブランド品から電化製品までさまざまな商品であふれています。街中では大声で人が叫びながら会話していて圧倒されました。ちょっと小道に入ると洗濯物が干してあるなど、生活感あふれる昔ながらのナポリの風景を垣間見ることもできます。それでいて駅前には高層ビルが建っているのです(駅前はひったくりなどの被害が多く危ないのでめったに行きませんが)。滞在中ローマ、北部イタリアの諸都市、パリなどEU内を旅行しましたが、ナポリは排ガスやごみが散乱していたり、とEU内の他の都市とはだいぶ雰囲気が違いました。 ナポリの人はとてもにぎやかで親切です。たとえばわからないことを聞くと、問題が解決するまで手伝ってくれます。市場の売り子さんやBarの店員などと世間話をすることも少なくありません。はじめ、なれない国で心細くなり黙りがちだった私にとってとてもありがたいことでした。ナポリ人のおおらかな性格のおかげで、すぐにナポリの生活にも慣れることができました。仕事中のはずなのにBarの店員や駅員さんにナンパ(?)されるのは正直うんざりしましたが。 一番大変だったのはやはり言語です。イタリア語は各都市でなまりが強い、とは聞いていたものの、まさかこれほどとは、という感じでした。ナポリ方言では「ス」が「シュ」になり、単語の語尾をすべて切ってしまうので、聞き取りづらかったのです。また方言とは別に、ナポリ語というのがあります。ナポリ語はイタリア語とは文法、単語が違うそうで、イタリア語ナポリ語の辞書までありました。いくつかのナポリ語は今ではイタリア語になりつつあるものもあるそうです。たとえば mo' というとイタリア語の adesso / ora と同じで「今」という意味になります。ナポリ東洋大のイタリア語のコースは毎日二時間、習った文法を会話の中で実践することが多く、会話の苦手な私にとってとても役立つ授業でした。 ナポリの町には見所がたくさんあります。考古学博物館やカポディモンテ美術館、卵城、サンタキアラ教会とマヨルカ焼きの回廊、王宮、サンカルロ劇場など挙げていたらきりがありません。ただ残念なことに、王宮のカーテンは破れ、大理石は割れていたり、考古学博物館の床も破損していたり、部屋が閉じられていたりしました。日本ならきれいに修復して展示するなど方法がいくらでもあるはずなのに、ナポリでは管理しきれないので、入れないように閉じられているところや、放置してあるところがいくつかあるのです。せっかくの文化遺産なのに。もったいないです。 いくつか否定的なことも挙げてしまいましたが、私はナポリの雰囲気が大好きです。確かに日本に比べると不便なところもたくさんありますが、「まあ、ナポリだから仕方ない」「ここはイタリアだからね」とイタリア人すら言ってのけてしまうところをみて、すごい国だ、と改めて思いました。この1年の留学を通してナポリ人のように少しはおおらかになれただろうか、と思います。
by history-sophia
| 2011-09-16 11:02
| 留学・在外研究レポート
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